不完全への寛容

自分の周りの機械の調子が良くないと、どうにもこうにも落ち着かない。スマホやパソコン、テレビ、HDD、エアコン、電子レンジ、、列挙したらキリがないが、それぞれの不具合の度に苛立ちと不安に苛まれる。

人は機械というものに、正確さと万能さを常に求めている。自分自身、つまり人間に対してはどうだろうか。調子が良い時もあれば悪い時もある。体調が優れない時には少し休むことも、自分自身には許している。しかし、生命の誕生以来、進化しながら何千年と受け継がれてきた人体の素晴らしい機能でさえ、不調や衰えを来すことは皆自覚しているのに対し、人体の精巧さに比べれば遥かに粗雑な作りの機械に対しては、少しの遅れにも一つのミスにも不寛容なのである。

物に対する思いやりが、他者に対する思いやりに繋がる。自分を含め、自分の周りの全ての物事は完全ではないという事実を受け入れると、期待していた通りに事が進まなくても狼狽えることはない。

スマホの調子が悪いから、今日は家で休ませている」そういうことが出来る人に私はなりたい。